【cafe Thistle】

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【cafe Thistle】

慎が作ってくれたから、片付けは俺。 『和弥…手際いいな』 「ほら、母さんさ…筆がのってくると何もしないんだよ」 『はは、ちーちゃんらしい。これならふたり暮らししても心配ないな』 「ん…母さんに感謝だな」 片付けも終わり、出かける準備をするはずがキスを始めると止まらなくて… ふたり暮らしってワードがくすぐったくて。 ちゅ…ちゅ… 『和弥…出かけるの…無理…』 ちゅ…ちゅ… 「ダメ…デート…行くの」 ちゅ…ちゅ… 『はぁ…』 「続きは帰って来てから…な?」 『ぶぅぅ、了解』 やっと出発、高校生だから車もない…駅前まで歩けば、大きなショッピングセンターや映画館、当然、オシャレなカフェもある。 見たかった映画には間に合わなくて…リサーチもなく飛び込みで見たのは悲しい恋愛映画だった。 「グス…慎…悲しい最期だったよな?」 『ああ…もう泣くなよ…可愛すぎて襲いたくなる』 「バカ!あんな映画観た後に何考えてんだよ!」 『俺はスクリーンより、和弥の横顔ばっか見てたから…』 「もう…全く…あ、慎…あそこ入ろう?【cafe Thistle】だって、オシャレ」 『へぇ、前に雑誌で見たな…確か…』 カランカラン 【いらっしゃい、おふたりさん?今、カウンターしか空いてないんだけどいいかな?】 『いいよな、和弥?』 「うん」 【良かった、どうぞ。舞人!2名カウンター!】 『やっぱそうだ!和弥!舞人って人、バリスタの世界大会で優勝した人だよ!』 【へぇ、君みたいな若い子にも知って貰えてるなんて嬉しいな】 『じゃ、さっきの綺麗な人がパートナーさんなんですね?雑誌で見ました』 【よくご存知で。そうだよ?俺の大事な人だ…君たちふたりも…そうだね?】 舞人さんは俺たちふたりを交互に指差しウィンクする。 『ええ…まぁ…』 「待って、慎…着いていけない…何の話だよ…」 『ああ…和弥ごめん…前に雑誌で見たんだ。同性のカップルでカフェやってて、コーヒーが美味しいって有名なのと…舞人さんがすごいイケメンバリスタで、そのパートナーの方がすっごい美人なんだって…』 【すごいな、完璧。紹介するよ、京!】 【ん?舞人、どうした?】 【こんなに可愛いカップルが、俺たちの載った雑誌見てくれてたんだ】 【そっか…ありがとう、ゆっくりしてってねって…ふたりカップルなの?】 『はい、見えませんか?』 【いや…そうじゃなくて、そんなに若いのに上手くやってるなんて…】 【イケメンが慎くんで、美人さんが和弥くんだそうだ】 【ふふ…仲良くやれよ?そして、たまには顔を出せな?】 『は…はい…ありがとう…ゴザイマス…』 「慎…お前、京さんに見惚れてたろ…サイアク…」 『ちがっ…』
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