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キスは悪くない
チュッと音を立てて離れた唇、俺は自分の唇をペロリと舐めた。
「ん…悪くねぇな」
『和弥…お前な…』
「今更、気ぃつかってんじゃねぇよ。教室のど真ん中で愛を叫んだじゃねぇか」
『和弥…好きだ。めちゃくちゃ好きだ』
「あは、わかってる。それさ…好きだってやつ…」
『イヤか?イヤなら…』
「じゃなくて…毎日言ってくれ。その慎の声が…その…好き…なんだ」
『そんなのお安い御用だ。なぁ和弥…うち遊びに来ないか?そのさ、俺…ひとり暮らしなんだ。両親は海外で仕事してて…』
「うん、じゃあその前にうちに寄って飯食ってこうぜ。うちの母親、慎の事めちゃくちゃ喜ぶと思う」
『どういう意味だ?イケメンって事か?』
「まぁな、すぐわかるよ」
『わかった』
それから俺たちは午後の授業を受けてきたそのまま帰る予定だったのに。
【オイ!菅柴ぁ!】
放課後の教室にドスの聞いた声が響く。
『阿部センセ…うるさいです…なんですか…』
【俺の山崎に手を出すとはいい度胸だ!表に出ろ!】
「ハァ?誰が誰のって?」
【山崎!無事か?菅柴に襲われてないか?】
『阿部センセ…すみませんが和弥は俺の恋人です』
【ふざけんじゃねぇ!そんなはずは無い!な?山崎?あと、呼び捨てするな!】
「阿部センセ…ホントだよ?俺は慎と付き合ってる。悪いけどセンセの気持ちには応えられない」
【ガーン】
阿部センセは…へたへたとその場に座り込んだ。
「あー…」
『和弥…行こう』
「慎…悪い、俺、阿部セン職員室まで連れてくわ」
『和弥は優しいな、俺も付き合うよ』
「慎も優しいじゃん」
『和弥の為だ』
「ふ…ありがとう」
【お前ら…俺を挟んでイチャつくな!ホントなんだな…じゃあ、俺も仲間に入れてくれ!3Pでどうだ?】
「…」『…』
【やっぱダメか…もういい、ふたりとも帰れ…】
『「センセ…さよーならー」』
それから俺たちは、肩を並べて俺のうちへ。
母親には友達連れてくから、夕飯よろしくってlimeしてた。
【はーい!イケメンくんかなぁ?】
【うん…めちゃくちゃイケメンだよ。ビビるなよ】
「ただいまー」
【あら、おか…えり…】
【カズ、ヤバいイケメン…】
『どうも…菅柴慎と申します』
「言っただろ?ビビるなよって…」
【ヤダ、もしかしてあなたたちって?】
「お察しの通りだけど?」
『え…?お察しって?』
「俺と慎が恋人同士って事だけど?」
『和弥…別に言わなくても…』
【カズ…あんたって子は…】
慎が唇を噛み締め、叱咤に構える。
『和弥のお母さん、すみません…俺が一方的に!』
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