俺の痛い母さん

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俺の痛い母さん

【いゃ〜ん、最高のカップルじゃない!カズ、よくやったわ!さ、上がってちょうだい。夕飯はもうすぐできるわ】 母はルンルンでキッチンに戻って行った。 「慎?大丈夫か?俺の部屋行こう?」 『いや…なんなんだ?お前のお母さん…怒鳴られるかと思った…』 「あー…部屋で話すわ」 俺たちは二階の俺の部屋へと向かう。 「適当に座って」 『ああ…』 「あのさ、うちの母親…いわゆるBL作家ってヤツなんだ…」 『BL?』 「うん、ボーイズラヴっての…男同士のエロいヤツ…の…小説家」 『は…だから【よくやったわ】って…』 「うん、だから多分そうゆう目でジロジロ見られるけど気にしないで。ごめんな」 『びっくりしたけど、まぁ、コソコソしなくていいってのは嬉しいかも…』 そう言って慎はドアの方をそっと指差す。おれはハッとした…そうか、母親が聴き耳立ててんな。まぁ、想定内。 慎はワザと大きめの声で言う。 『和弥…今夜は俺んちに泊まるだろ?ちゃんと準備しとけよ?』 俺も乗っかる、次の小説のネタになるかもな。 「クスッ…何の準備か言ってくれねぇとわかんない」 『和弥…煽るんじゃねぇ〜よ!っと』 慎はそのタイミングでカチャッと開けた。 母親はきゃっと声を上げて、部屋に雪崩れ込んできた。 「母さん…マジかよ…」 【エヘヘ?次回作のネタになるかと思って】 「何て親だよ…悪いな慎…」 『面白いお母さんだ。俺は嫌いじゃないぞ?』 【慎くんって素敵だわ…ご飯出来たから降りてらっしゃい】 下に降りていくとテーブルには所狭しとご馳走が並んでいた。 『スゲー』 【遠慮しないでたくさん食べてね】 『ありがとうございます。俺、ひとり暮らしなんで嬉しいデス』 【あら、そうなの…ごめんなさい】 『いえいえ、両親は仕事で海外で』 【そう、じゃあいつでもご飯はうちに食べにいらっしゃいね。ふぅん…カズはひとり暮らしの慎くんとこに泊まりにいくんだぁ?】 「母さん…何想像してんだよ」 【だってぇ…うふっ。あなたたちどっちがどっちなの?】 ゲホッ ゴホッゴホッ 俺たちはふたりで盛大に咽せた。 そこからは黙々と食事を済ませた。 『ご馳走様でした、めちゃくちゃ美味かったです。和弥のお母さん、料理上手いですね』 【お口に合って良かった。いつでも食べに来て。それから私のことは“ちーちゃん”って呼んで?】 「おいおい、母さん…」 『ちーちゃん、ご馳走様でした。また食いに来ます』 【遅くなる前に出なさい。カズ、お邪魔じゃないなら2泊して来ても良いわよ】 『良いんですか?俺が独り占めしても?』 【もちろんよ〜付き合い始めでしょ?大事な時期よ?うふふ】 「母さん…もう行くから」 【はーい。行ってらっしゃい。慎くん、カズのことよろしくね】 『はい、もちろんです。ちーちゃん、ありがとう』 【ヤダ〜、可愛いお婿さんね】 「慎、行くぞ。キリがない、じゃ母さん。帰る時連絡するから」
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