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目は閉じましょう
『だから…キスくらいは…許して欲しい』
そんなイケメンで見つめられたら…イヤ…なんて言えるわけない。
「うん…キスだけなら…あっ、でもディープキスはまだダメだ。ちゅってやつだけな」
『クスクス、わかった』
揶揄われてる俺がブスっとヘソを曲げていると慎が部屋に上がるように手招きする。
「お邪魔します…うわぁ、スッゲェオシャレ…」
『そうか?全部自分で選んだんだ。気に入ってくれて嬉しいよ』
俺は大きなソファに座るように促される。
「はぁ…居心地良すぎるわ。いい匂いするし…そっか…慎の匂いだ」
俺は胸いっぱいに、慎の匂いを吸い込む。
『おい、煽りワードは禁止な。コーヒー飲むか?』
「はい、イタダキマス」
コーヒーのいい匂い…と一緒に近づいて来る慎の匂い。
コーヒーをテーブルに置き、俺の隣に座る慎…
告白されたのが7時間前ぐらい?
慎の横顔を見つめながら、考える…考える…見れば見るほどイケメン、彫刻みたいに整った顔…少し茶色がかった硬めの髪をツンツンにセットしてる。男らしいクセに睫毛長い…
ゲイじゃないって言ってたのに…何で俺なんだ?俺だって身長もそこそこあるし、身体つきだって華奢では無い。確かに美人顔だとは言われる。小さな顔に大きなパーツ、少し長めの真っ黒な髪。手入れは怠らないからサラサラのストレート。けど、どこからどう見ても女っぽくは無い。
『そんなに見つめるな、穴が開く』
「あ…ごめん」
『どうした?』
「いや…イケメンだなって、何で俺なんだろって考えてた」
『理由や時間が必要か?ただ、好きなだけ。和弥だから…男とか女とか、身体付きとか…あんまり関係なかった。強いて言えば…そうだな、その綺麗な顔…それに纏う雰囲気かな?』
「よくわからないけど、ありがとう」
『ふふ、どういたしまして』
そこからしばらくは、黙ってコーヒーを飲んでいた。何も話さなくても居心地いいなんて初めてかも。
テーブルにコーヒーを置き、慎の方に身体を向ける。
「なぁ、まだ好きとかわかんないけど…」
『うん』
「キスしていいか?」
『クス、もちろん』
俺は慎の顔を見ていたくて、目を開けたまま顔を近づける。
考えてた事は同じで…
見つめあったまま唇が重なる。
ちゅっと音を立てて唇が離れ、そのままおでこをくっつけ笑う。
『目…閉じろよ』
「慎こそ…」
『顔見てたくて…』
「俺も…」
そしてそのまま、また唇が重なる。角度を変えながら何度も…
「あ…やべ…」
『うん…止まらなくなる…俺、シャワー浴びて頭冷やすわ』
慎はそう言って部屋を出て行った。
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