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僕の体は著しい変化を見せていた。大きな里芋のようだった醜い腕や、下を向けば何重にも層が出来た首、そして何より大きく膨れ上がって動作を阻害していた腹部。これは全て、標準的なサイズや姿に変化していた。急激な減量に周囲から驚かれたのは言うまでもない。その驚愕は僕を大いに喜ばせた。だがそんなものは副次的なものに過ぎなかった。人気者になるための手段。それだけのことだった。これから僕はこの肉体を更に成長させつつ、別の部分も改善しなければならない。
そしてそれにあたって、僕はまず初めに体を鍛えたことが正しい判断であったと確信していた。体力の向上。これによって一日の行動効率は遥かに上昇していた。
僕は次の目標を決めるべく、遠藤を絶えず観察していた。観察結果をまとめた小さなノートは五冊目も半ば、という辺りまできている。あの夏のルーズリーフのようなミスは決して起こすまいと、書く時以外は常にポケットに入れていたので厚紙製の表紙には幾つものシワができている。すっかり愛着の湧いたそのノートの表紙を撫で、最新のページを開く。僕は既にその膨大な情報の中から、遠藤の会話の中で頻出する要素を発見していた。
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