雨の日

7/13

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
私たちは自分の自虐心を満たしてくれる相手を求めてた。 誰かに責められたかった、詰られたかった、蔑まれて嘲笑されたかった。 でもそばに誰もいないのは寂しいから、離れることも出来なくて。 人肌の恋しさに突き動かされるように肌を重ねた。 爛れていたのかと言われると首を傾げる。 お互いにそこまで熱を上げてはいなかったはずだ。 けれど身体だけの関係と言うには、同族意識が強すぎた。 あの人のどこを好きなのかと、顔も知らない友達に訊かれたことがある。 私はその問いに散々頭を悩ませて、首が180度回ってしまうのではと思うほどに首を傾げ。 結局答えを出せなかった。 顔も知らない友達はそれを不潔だと言い切って、顔も知らない誰かになった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加