第33章 古式魔法

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バカだった。タドルという存在を見捨てていたのは、本当に自分自身だけだった。エリザ先生達やリーヴァス、フレッグ、そしてシェイミー、こんなにも自分は想われていたというのに。 「シェイミー……」 もう絶対に、自ら大切な人を手放したりしない。そう胸に、より一層シェイミーを力強く抱きしめ、ようとした。が、前触れもなくシェイミーがタドルの両肩を掴んで押し返してきた。 「さ、湿っぽいのはココまでよ」 「……へ?」 「全部私にも話して。先生やフレッグ君が知ってること全部」 「え……っと。別に大したこととかないけ、ど!」 顔を逸らした途端、シェイミーが鼻を摘んで顔の向きをねじり返してくる。 「い、い、な、さ、い! 退院して初めて顔を合わせた時、嫌そうな顔されて私がどれだけ傷ついたことか! リーヴァス君と決闘した時に急に倒れて私がどんなに心配したことか! 私が納得できるように全部話してくれるのよね!」 「言う言う! 言いますから!」 ギリギリと強く鼻を摘みあげられて地味に痛い。パッと手を話してくれたものの、鼻がもげてないか何度か撫でて確認しなければならなかったほど。 「じゃ、中に入ってゆーっくり話しましょ」 両手を腰に当てて、腹の底で怒っているような笑顔を見せながら小首を傾げる彼女には、やはり神妙なムードよりもコッチの方が合ってると思わざるを得なかった。 *** 事故直後からすれば、管制室はだいぶマシになったとは思う。人員分全ての演算装置は再設置されたし、壁の傷も修復され、高価な魔粒子不透過耐圧ガラスも元通りになった。とはいえ、ガラスの向こう側に揃っていた装置は撤去されたまま、そのちょうど真下に格納されているはずの術式パネルも修理中とのことで、未だに元通りになったという実感はこれっぽっちもない。 「そんなに、画面覗き込んでたら目が悪くなるぞ」 「そんなの気にしてられないですよ」 ロッドウェルが隣に座りハルフィアの机にコーヒーカップを置いてくる。
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