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「呆れたぞこの野郎!今時の若者は飢えというものが足りていない!なんて自堕落なんだ!!」
「日本はじき滅びる……祖先たちの残した空っぽな子種によって……」
「いいから起きろ!」
座敷童は凄まじいパワーで陸人の服を掴みあげた。
女児とは思えぬ怪力に陸人は無理やり起こされた。
そして勢いづいて倒れ、床にゴロゴロと転がる。
「……痛い」
「なにが不満なのだ!お前は立派な体があるし、頭だってある!なんだって出来るじゃないか、お前に足りないのはやる気だけだ!」
陸人はいつもの濁った眼で座敷童を見つめた。
じめじめとした覇気のない嫌らしい瞳だ。
「な、なんだ?」
「高校生……」
「は?」
「だいたい男というものは高校生で童貞を卒業する」
突飛もない発言に、座敷童はぽかんと口を開けた。
それに構わず陸人は話を続ける。
「早いやつは中学だな、遅いやつでも……まあ大学ではだいたいが誰かと肉体の関係を持つ」
「……は?」
「それが普通だ……それが世の理だ」
「何を言っている?さっきから……」
「だから広田陸人という男は世界の理に見捨てられているって思うんだよ?……思わざるを得ないじゃないか」
「……童貞なのか?」
「そうその目だ……一般的に普通に生きているやつはそういう目をする……そうだろう?座敷童さん」
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