君と大人になる僕を

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2年生の冬からは、もう本格的に進路に向かって進みだした。 時は確実に流れているけど、俺たちは平行線のまま立ち止まっていた。 3年の春 俺はまたしてもみいちゃんと同じクラスになった。そしてかいはまた離れてしまった。 俺は内心ほっとしていた。そして運命だとさえ感じていた。 「かけるまた一年生に告白されたんだって?」 同じクラスの女子が、俺とみいちゃんの席のところまで来て弁当を広げる。 「ね?まだ2か月くらいしかたってないのに、無駄なフェロモン」 そういって、笑う。 「かわいい子ばっかなのに、なんで付き合わないの?」 彼女はちらっとみいちゃんを見たのがわかった。 「俺以外と奥手だから」 「またまたぁ」 「あんま知らないからね、一年生のこと」 「せっかくなら付き合ってから知っていけばいいのに」 みいちゃんの一言に、友達がはぁと小さくため息をつく。 どうやら、俺の気持ちを知らないのは、みいちゃんだけのようだ。 「あっ」 ふと友達が声をあげる。 「もう一人いた、無駄にフェロモン出てるやつ」 そういって、校舎の陰に見えるか見えないかのところにいる人影を見下ろす。 俺たちもそっちを見ると、かいがいた。 「あいつも、相変わらずもてるよねぇ」 かいの前には、女の子がうつむいて何か話しかけてる。 絶対に告白だ。 「絶対年上じゃなきゃダメだと思うんだけどなぁ、かいの彼女は」 友達は視線をかいたちに向けたまま言った。 「付き合ってもすぐ分かれるじゃん」 吐き捨てるようにみいちゃんが言う。でも視線はじっとかいたちを見ている。 こういう場面を何度も見ている。 そして気づいてしまう。みいちゃんがいつも祈るような切なる目で、 かいの告白シーンを見ていることに。でも確信を持つことはできづにいる。 でもあいつは、割と簡単に告白をOKすることが多い。 「やまちゃんに甘えすぎて、結局フラれたりするんだよね」 友達は、苦笑いをしている。 「はは…私はかいのおかんみたいだねぇ」 と言って笑うけど、うまく笑えてないのにも気づいてしまう。 「リア充見てるとメシマズくなるから、弁当食べよ」 友達がそういって、カーテンを閉める。 そして俺は見てしまう。 その刹那、かいがこちらを見上げていたことに…。
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