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「おはよう」
「あ おはよう。」
次の朝、同じ車両、同じ時間の電車で、俺とみいちゃんは、いつもと少し違う挨拶を交わす。
「今日すいてるね」
「う うん」
いつもよりなんだか戸惑っているようなみいちゃんに、
俺は『やっぱかいとなんかあったな』と感じずにはいられない。
「なんかあった?」
そ知らぬふりして聞く俺は相当性格悪い。
「あ と…」
思いもよらなかったわけじゃないだろう。
でも、みいちゃんの気持ちもわかる。片思いだろうと思っていた相手から、告白されたら、うれしさと戸惑いが一気に押し寄せてくる。
でも、きっとみいちゃんは何となく俺の気持ちに気づいていたのかもしれない。だから、一番相談したいはずの俺に、相談できずにいる。
そんなところだろう。
戸惑うみいちゃんと、苦しい俺を乗せて、電車はかいの乗る駅に着いた。
かいは、みいちゃんを見つけて近くに来る。
「おはよみいちゃん」かいの雰囲気は明らかに違う。
今までどの子と付き合ってた時にも出さなかった“彼氏”の雰囲気。
「おはよ」みいちゃんは、今までにないくらい“女の子”だった。
これは、結構、思っていたよりつらい。
「俺、あっち座るわ」あいた座席を顎で指して、二人から少し離れた。
「みいちゃん大丈夫?」少し混んできた車内で、ドアにかばうようにみいちゃんを立たせて、その前に立つかい。
かいはかわいい、なんて、何でそう思ってたんだろ。
今俺の目に映っているかいは、男でもドキドキするほど、かっこいい。
ふれそうなほどに、みいちゃんに甘えてるのに、かわいいのは変わらないのに。みいちゃんを見つめるその瞳の情熱が、ヤバイ。
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