君と大人になる僕を

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中一の冬 ある日3年生の先輩がみいちゃんを呼び出しに来た。 読書部の先輩だ。 「なんかあったのかな?」 俺がみいちゃんの友達に聞くと 「冬休み明けたら、先輩自由登校でしょ」 「?」 「だぁかぁらぁ」 友達は、指でハートを作る まだぴんと来なかった。 「駆け込みで告白してくる先輩最近多いよ。」 そういった友達にハッとなる。 「え?じゃみいちゃん今から告白されるってこと?」 「やまちゃんだけじゃなくって、今週は先輩良く来てるよ」 気づかなかったの?と言われてしまった。 「まぁやまちゃん奥手だからなぁ先輩も大変だろうね」 と言って、彼女は俺に手を振って帰っていった。 30分ほどして、みいちゃんは戻ってきた。 まだ教室にいた俺に少し驚いていた。 「先輩なんだったの?」 とぼけたふりをして聞いてみる 「…あ うんちょっとね 大したことじゃない」 嫉妬の炎ってこういうことかな。感情がぐちゃぐちゃになっていく。 「今日一緒に帰らない?俺はらへちゃってさぁ」 探りを入れたくてかまをかける。これで、ごめんなさいされたら、 先輩と付き合うってことだ。 ちょっと考えるそぶりを見せるみいちゃんに、果てしなく感じる時間がもどかしい。 「あ うんいいよ。もしかして待っててくれた?」 さわやかなみいちゃんの返事に、心底ほっとする。 「この前かい君と行ったクレープ屋さん行きたくって。いい?」 一難去ってまた一難。みいちゃんの提案にドキッとする。何でかいとデートしてんだよ。 いや多分二人だけじゃないかもしれない。でもなんでそんな嬉しそうに話すの? 「いいよ、食事系のクレープもある?」 「うん もちろん。ツナたっぷりのもあったから、翔君絶対好きだよ。」 そんなふうに笑ったら、勘違いしちゃうよ? そして俺は思う。フラれたかもしれない先輩は、自分の気持ちを伝えられただけ、すごい。俺はこうやって女々しく、みいちゃんの横にいるだけなんだから。つかず離れず。そのくせ嫉妬して、彼氏面して…。何やってるんだろ。
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