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答え
考え続けた長橋は、そのまま朝を迎えた。
何か大事なことを忘れている気がしていた。
「なんだろう?」
人としての何かだろうか?
そうかも知れない。
あんなに素敵な彼女を手放して、すぐに別の女と付き合い始めたのだから。
自分はもしかしたら、女性に対して本物の愛情を抱けないのかも知れない。
でなければ、この成り行きはない。
長橋はスマホのホーム画面で、今の恋人から頬にちゅーされて笑っている自分の顔を見つめた。
よく見ると、どこか演技くさい。
恋愛というテーマで即興の舞台に立っている役者のようだ。
自分は彼女を本当に愛しているのだろうか。
もしも愛情っぽい感情に酔っているだけなら、別れなければ。
彼女の人生の時間も、自分の人生の時間も、無駄にすべきじゃない。
長橋は決めた。
そして電話した。
「大事な話があるんだ。
今日休日だろ? 今から会えないか。」
彼女はいぶかりながらも、部屋に来ると言った。
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