ちょっと俺の野望聞いてくれない?

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俺の食生活改善の策を練り出すにまで発展した渡部と清水。 それを横目に周りに視線を移すと何人かの生徒が目を潤ませてこっちを見ていた。 あー…聞かれたか? 聞いた上で同情しちゃってる感じ? まじで俺今悲劇の会長様になってるじゃん。 やめてくれ。被害者ではあるけど被害者ぶるつもりは無いんだから。 元気だし、そんないきなりポックリ行く訳でもないんだから。 「お待たせいたしました」 ロボットが運んで来たうどんは見たまんま、質素な素うどんだ。 つゆも薄めだから全体的に色味が無い。 でも美味しそうに感じるのは、食の好みが変わってしまったからだろうか。 「匂い大丈夫?」 「大丈夫だって」 心配症だな清水は。 うどんを一本掴んで啜る。 あー、胃に入っていく感じ。なんとも言えない。 気持ち悪いかもしれないしそうじゃないかもしれないし。 吐いたら嫌だなあとか考えると食欲も失せてくる。 そういう思考がダメなんだと分かってはいるんだけどさ。 「渡部。俺が残した奴って食える?潔癖症だったりする?」 「んあ?食えるけど…え、まさかもういいのか?」 「うん」 「半分も減ってねえし!馬鹿か」 「結構キツイんだけどなあ」 「重症じゃんか…」 ぶつぶつ言いながらも俺が残したうどんを食べてくれた渡部、そういうとこだよな。お前の良いところ。 俺は2人が食べてる姿見てるだけでお腹いっぱいだよ。 「ここにあるメニューだと伊織が食えるのに限りあるぞ。 うどんと蕎麦の往復じゃん」 「雑炊とか無い訳?お粥でも可」 「蕎麦はうどんよりも消化が悪いしまだ食べない方がいいよ」 「まじか」 ならばうどんに飽きたら厨房に交渉してみよう。 しばらくはうどん生活か。 そう麺とかあったらいいんだけどな。 麺が細いから喉に通りやすいし。 そう麺といえば、流しそう麺してみたいんだよな。 竹を繋げて水とそう麺流して掴むやつ。 どっかの町では最長3キロ弱の流しそうめんをしたらしい。 いいな、俺もしたい。 「よし決めた」 俺の声に2人は箸を止めた。 その一瞬の間に俺は色々構想を練る。 「2-A、流しそうめん大会を開催しよう」 突拍子もない俺の提案に2人の目が点になる。 やりたい事はとことん突き詰めちゃうタイプなもんで。 この提案が出た時点でやらないという選択肢は無い。 したり顔の俺の姿にそこにいた全員が注目していたとか何とか。
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