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授業を真面目に受けて疲労感たっぷりのまま昼を迎えた。
生徒会の仕事で頭を抱えるよりかは遥かにマシだったけど。
授業について行けずひたすらノートを写しまくった。
クラスメイトとは久々ともあって距離感があったが半日で打ち解ける事が出来た。
ていうか七瀬や伊織と呼ぶのはいいが“ナナちゃん”や“伊織ちゃん”ってちゃん付けで呼んでくるのはやめてほしい。
親衛隊からの連絡で転入生はカフェテリアではなく生徒会室でお昼を食べると連絡を受け、渡部と清水を連れてカフェテリアに来た。
「会長だ…!」
「えっ嘘!!まさかここに来るなんて!!」
「ちょっやばい!髪型直さなきゃ!」
「かっこいい…!!」
一歩カフェテリアに入れば俺を見てざわめきがどんどんと広がっていく。
叫ばれないだけマシだけど。俺は動物園のパンダかっつーの。
たまにシャッター音が聞こえてくるのはきっと新聞部の奴だろう。まあいい。
「どれにするー?まじで奢ってくれんの?」
「ああ、好きなもん頼んで。清水も」
「え、俺もいいの?」
「うん。ノート見してくれたお礼」
学食の頼み方はテーブルに置かれたタッチパネルで注文する。
出来上がった料理はロボットが運んでくる。
スタッフは一応いるけど、極力生徒と接触しないようにこのシステムが導入された。
ほら、金持ちもいるからプライド高かったりするからね。
揉めたりしたら大変だから。
「俺ハンバーグにしよ〜っと。清水は?」
「カレーで。お願いします」
「俺うどんね。お湯増し増しで」
「はいよ〜…お湯増し増し入りましたーってラーメンじゃねえんだから。なんだよお湯増し増しって」
「出来ないかな?」
「出来る出来ないじゃなくてさあ」
「スタッフボタン押してくれない?交渉するから」
渡部のツッコミは無視して、スタッフを呼んでもらう。
すぐにやってきたスタッフに、つゆを薄めにしてくれないかと頼む。薬味も全て抜きで素うどんにして貰った。
最初は困惑した表情を見せたスタッフだったが「承知いたしました」と言ってすぐに厨房へ引っ込んで行った。
「何で?お前肉とか良く食ってたじゃん」
「気づかない内にファスティングしてたみたいで食が細くなったんだよな。
肉とか味の濃いもの食べると出ちゃう、上から」
「げっ…まじかよ」
下からでは無く上からだ。
自分でも結構やばいと思っている。
だから味の薄いもの、消化しやすいものを選んで徐々に改善出来ればなって。
因みにそれに気づいたのはつい最近である。
「大丈夫なの…?」
「まあ大丈夫だろ。いつか治る」
「匂いとかは大丈夫?俺カレー頼んじゃったよ?」
「平気だ。無理そうなら静かに立ち去るから、その時は察して」
心配そうに見てくる清水の視線が痛いったらありゃしない。
渡部は何か難しい顔してるし。
「渡部?」
「…何かすっげームカついてきた」
「何に対してだよ」
「生徒会だよ。あいつら、お前が大変な時も呑気に飯食ってたからな。1発殴っときゃ良かった」
「部停になんぞ」
「お前はエナジードリンクばっかり飲んじゃって…!日本だからまだ安心だけどそれでも1日に何本も飲んだら危ないんだからな」
「あー、うん」
お前もあの映像見たのか。
生徒会室の机の上に並べられたエナジードリンクを。
「渡部、落ち着いて。もうすぐ今の生徒会は解散するし。
心配なら投票用紙を10枚くらい余分にあげるからそれで投票率上げちゃえばいいんだよ」
「おいそれで良いのか風紀委員」
「30枚くれ!」
「やめろ渡部」
不正はさすがに許せないんだけど。
やるならバレずにやってくれ。俺の居ないところで取引してくれない?
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