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流しそうめん大会についてはすぐに体育館の使用許可を得ることが出来た。
風紀にお願いしに行ったらなんだか生暖かい目で見られた。
委員長からは無言でゼリー飲料を貰ったりして。
教室に戻っても机の上にゼリーやヨーグルト、飲み物なんかが大量にお供えがしてあって。
カフェテリアでの俺の様子が誰かを通じて一気に広まったのは明白だった。
クラスのみんなからは思いっきり心配されて。
流しそうめんについてまだ何も言って居ないのに大賛成を受けた。
なんだろ、すごい心配されてんのは分かるけど別にそうめんしか食べられない訳じゃないし。うどん食ってたし。
そんな可哀想な目で見ないでくれよ。
そんなこんなで日程を確保し、ルンルンの俺の前に突如と現れた宇宙人がいる。
「あー!!」
「あ?……ゲッ」
転入生だ。
馬鹿デカい声でこっちを指指して、猪の様に走って来る。まるで猪。もはや猪。
こいつ1年だろ。何で2年のクラスがある階に来んだよ。
近くにいた親衛隊が素早く盾になってくれたがそれも虚しく。親衛隊を押し退けて俺の目の前までやってきた。
「この間の結局嘘だったじゃんか!嘘はついちゃいけないって教わらなかったのか!」
「人を押し退けてはいけませんって習わなかったのか」
倒された親衛隊よ、まじでごめん。
「伊織が仕事してないのは本当だったじゃないか!
伊織が仕事しない所為で今あいつらは大変なんだぞ!」
「それ“今”の話だよな。俺今は休暇中だから」
「会長なら仕事しろよ!」
「いや俺リコールされたから」
リコールって分かる?ドゥーユーアンダースタンド?
お前含めた生徒会に断罪されたんだけど。
距離感の近いコイツ、マリモこと転入生こと
松坂愛夢(マツザカ アイム)。
愛情いっぱい受けて夢と希望しか持っていない、知性と道徳のかけらもないコイツ。
正直言って苦手だ。
まず距離感っていうのを理解していない。
俺はパーソナルスペース広い方なもんで、そんな近づかれるとゾワゾワする。
「俺が一緒に謝ってやるから、今から生徒会室に行こう!」
「は?」
何故?何言ってんだコイツ。
こっちの話を一才聞かずに俺の手首を掴んで歩き出す転入生。
周りから悲鳴とブーイングが上がる。
「七瀬様から離れてよ!」
「近づくなマリモ!!!」
「いやぁああ!汚れるぅ!!!」
周りの目も気にせず、声にも傾けず我が道を突き進む転入生。
そして手首を掴む力が強い。馬鹿力か。
加減ってものを知らないのか。
自分基準で大丈夫だとでも思っているのか。
廊下での騒ぎに、教室の中にいた人たちも何事かと出てくる。
Aクラスも例外では無い。
宇宙人に連行される俺の姿を見てクラスの体育会系男子が前に出てきた。
「風紀に連絡だ!」
「はい!」
「ラグビー部!道を封鎖しろ!」
「「「おっす!!!」」」
「弓道部!!弓を持てぇ!!」
「「「はい!!」」」
「ナナちゃんを救い出せぇ!!」
「「「うぉぉおおおお!!!」」」
や・め・て?
弓を持つな持つな。俺にも当たるだろーが。
ラグビー部VS転入生with俺。
意外にもラグビー部との押し合いに負けていない転入生。
片手は俺の手首を掴んでいるから、もう一方の手で防いでいる。純粋にすごい。
「邪魔だお前ら!何なんだよ!」
「お前が何なんだよ!会長を連れていくな!」
「伊織は生徒会に用があるんだ!伊織が行くって言ったんだから邪魔するな!どいてくれ!」
あ?俺何も言ってないんだけどな。
転入生がラグビー部と対立している間も俺の手首はずっと掴まれたままで。
たまにぐっと力が込められる。
かなり痛い。何回か手首が変な方向に曲がった気がする。
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