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「まずは何からお話ししようかなぁ! そうだ、洞窟に潜むゴブリンを一人で討伐した話などいかがでしょう! ざっと三十体はいましたよ!」
席に着くと、ヴォイチェフが紅茶を淹れてくれた後に脇に控え、戦士風の男の武勇伝が披露され始めた。やはりと言うべきか、アランが彼を無下にしようとしたのは実力を知らないからだと解釈したらしい。
自然、就職面接にも似た形で実績や今までの活躍の話を聞かされることとなる。それ自体は別に構わないのだが、どう転んでもアランは旅に出るつもりがないので、彼を満足させることは不可能だ。
「先に、お名前を伺いましょうか」
「おおっと! これは失礼しました! 私の名前はアンドレイ。中核都市、セレストより参りました! 狩った大鬼、小鬼は数知れず。鬼潰しのアンドレイと言えば伝わるでしょうか」
「なるほど。アンドレイさんですか。失礼ながら、王都の外の英雄には疎いもので」
「英雄だなんて! 勇者の貴方に比べたら! ははは!」
短く刈りこんだ頭をペシペシと叩きながらアンドレイは照れ臭そうに笑っている。
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