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アランが住む屋敷は、王都セレンティエーゼの城壁内、セレンティエーゼ城の外郭のすみにある。
城の内側から王が暮らす宮殿のある本丸、一つの城壁を挟んで内郭には重臣たちの屋敷、外郭には町民らが暮らす住宅街や商店、そして内外二重の城壁の外には水路としても利用される堀があり、その外に畑や農家が広がっている。
この屋敷は、一年前に国王陛下から賜った。一人で暮らすにはいささか広すぎる代物だが、それまで実家暮らしだったアランはこれで両親から離れられるとありがたく頂戴した。勇者であるアランは、常日頃から口を酸っぱくするほどに両親から「早く旅立て」と言われ続けていたからである。
だが、これが罠だった。
ヴォイチェフだ。屋敷と一緒に、執事のヴォイチェフも国王の命によりやってきた。彼は両親よりもしつこく小言を言い続け、それをのらりくらりと躱し続ける必要があったのである。今となっては慣れっこだが、それでも鬱陶しい事に変わりはない。
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