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……
二階の寝室から、らせん状の階段を降りて一階にある応接室へ。
ヴォイチェフがノックをすると、中から「はい」という声がした。凛としたテノール。男のものだ。
「お待たせいたしました。主人のアランでございます」
ヴォイチェフがそう言いながら扉を開ける。
「どうも、アランですが。帽子屋さん?」
応接間は大理石で出来た大きなテーブルと、それに向かい合う二脚のソファ。壁には盾や剣などの調度品も飾られており、この屋敷の中では最も豪華な部屋となっている。
座っていたのは若い男だ。面識はない。筋骨隆々の戦士風の佇まいであり、その横には龍でも倒そうかというほどの大剣が立てかけられている。
ヴォイチェフにしてやられた。彼は帽子屋などではない。どう見ても傭兵か冒険者……とにかく戦士職であることは間違いない。
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