30人が本棚に入れています
本棚に追加
「申込書兼合意契約書…?こんなワケが分からないもの子どもに書かせるなんて!!」
「子どもじゃないですよ、奥さん。美嘉ちゃんはれっきとした大人です。ワケがわからないならサインしちゃいけないなぁ〜〜。」
男性はこう言ってコロコロ笑う。ママは青筋を立ててその契約書を奪い取ると、それをビリビリに破った。そしてそれをグシャグシャに丸めてバッグの中に突っ込む。
「こんな契約無効です!!貴方、警察に連絡先しますから!!行くわよ、美嘉!」
ママに引っ張られて、私はもつれる足で歩きはじめた。その刹那、男性が私にだけ聞こえるように囁いてきて。
「あーあ、残念。
契約書、なくなっちゃった。
美嘉ちゃん、次から気をつけな?悪い大人はね、君たちのこと、ヨダレ垂らして待ってたから。」
……!!
****
帰りの電車は、ママは無言だった。
私も無言。
ママ、ママ、ごめんなさい、違うの、だってあの人が講習会って言ってきて、あの紙がどういうものなのか全然説明されなくてっ…
だから…っ、
「え…?」
スマホに、メールの着信が表示された。
それは、身に覚えのないクレカの利用速報通知だった。その額、30万。
えっ、え、
えっ、
え!!?
「ママ、ママっ…、どうしよう!!これ、知らない、私こんなに使ってない、これ知らない!!」
パニックで、ママにすぐメールの画面を見せた。
どうしよう、これ、どうしたらいい!?
ママは険しい顔でメールを見て、そして言った。
「…カードを止めないと。」
最初のコメントを投稿しよう!