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パパは唇を噛んで、辛そうな表情を浮かべた。
「親は我が子を守ろうとする。
だけど美嘉が大人になった今、最後に自分を守れるのは自分だ。美嘉を守れるのは、美嘉しかいない。
何が危ないのか、何が怪しいのか、ちゃんと美嘉が自分で判断できるようにならないといけない。それが出来ないなら『成人』の権力を主張するのは、まだ美嘉には早いってことだ。」
自分自身を、守る。
私を、守る。
それは、私にしかできないこと。
「知りなさい、美嘉。
世の中の仕組みを。
パパたちだって知らないことがまだまだある。大人でも判断を間違えることはある。少しずつ知っていけばいいから、そうやって大人になればいいから、だからっ、」
パパが言葉に詰まった。
そして、私の頭を撫でた。
その目は、少しだけ赤みを帯びている。
「パパ…?」
「…美嘉が無事で良かった。」
パパの言葉に、私の目から涙が溢れた。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
心配かけて、ごめんなさい。
私、ちゃんと世の中の仕組みを勉強するから。
だから、ごめんなさい。
「…パパ、ママ、心配かけてごめんなさい。」
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