第9話『暗い海の底で』

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沙羅「海の恵みに感謝して、海洋開発への理解を深めるためにね」 鳴「沙羅は、退屈?」 沙羅「そりゃ、子供の頃から何度も来てるからね」    鳴が、窓の外を再び見つめる。 ○JNGX社海発記念館・前    高台に位置するガラス張りの二階建ての建物。 ○同・館内・展示室    館内を見学する帯屋町高校の生徒達。    その中、パネル展示を見て歩く坂東、鳴、沙羅の姿。 沙羅「で、いつもどおりの見学コース」    近くに椿姫の等身大パネルが置かれている。職員がそのパネルを撤去する。    その様子を見ている坂東。 ○同・ガイダンスシアター    椅子に座りスクリーンを見ている坂東、鳴、沙羅。    スクリーンには、『JNGX社メタンハイドレート資源海発史』の文字。 ナレーション「この映像は、JNGX社が進めたメタンハイドレート資源開発の記録である」    映像が切り替わり、土佐湾の海と地図。 ナレーション「JNGX社は、スーパーメジャーと肩を並べる世界屈指の資源開発企業である。JNGX社の資源開発は、三つの基幹事業から成る」    土佐湾に『中土佐帽岩(キャップロック)』の文字が表示され、海上に鉄骨造りのプラットフォームの映像に切り替わる。 ナレーション「中土佐帽岩(キャップロック)上でメタンハイドレート採掘を行うための洋上プラットフォーム建造」    プラットフォームからトンネルが延び、陸上に繋がる映像。 ナレーション「採掘された資源を安全に輸送する海上トンネルの建設」    陸上にメタンハイドレート備蓄基地が構築される映像。 ナレーション「そして、資源を精製・販売するためのメタンハイドレート備蓄基地の整備である」    三つの映像が背景となり、椿姫の全身が前面に洗われる。 ナレーション「これらの事業をわずか三年で成し遂げたのが、JNGX社の創設者である椿姫である」    映像を見ている沙羅がつぶやく。 沙羅「ここは、差し替えられなかったわけね」    坂東が苦笑する。 ○月観浜・ビーチ    砂浜に打ち寄せる波。
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