カエルの子

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カエルの子

大きな日傘に 身を包んで雨を待っていた このままで充分、魅力的なんて そう思っているから 声も形も変わりたくない 変わりたくないから 無数にある命の中で 私が私づけるもの 遺伝子でも才能でもなくて 生きたいから生きてる 当たり前の価値観 水の上で浮いている アメンボだってそうさ ダーウィンは言った この世で一番強い者は 力が強い者でも賢い者でもないよと 賽を振った神様たちよ どうか聞いておくれ この黒いボディの色を変えないで 手足なんてもう生えなくていいから 苗の寝床で雨宿りをしていた 濁った水の中で 最近出来た斑点をさすりながら 目の前のタガメに 食べられようかなんて思ってる 夢と幻想を生んだ神様は 生と死まで ほんの気まぐれで決める 運命という名前を付けて 波に流されて、親と同じ足が生えても 臆病者のようにはなりたくない にらまれたって怖くはない 怖くはないのさ
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