シャボン玉

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シャボン玉

シャボン玉 真夜中の駅のホームに ひとり、ベンチに座る 静まり返った改札口から やってくるはずのない まぼろしを待ち続けている 今も、変わらない心で 何気ない言葉で満たされたいの 震える唇を噛み締めて 悴んだ手を温めている あなたはシャボン玉 知らない間に弾けて消えた あなたはシャボン玉 束の間の空に浮かぶ あどけなさがどこか似てる コンビニの前で集まる 若者たちの笑い声 がらんとした空洞の中では 自分が自分でいられなくなる 気づかないフリをして微笑んだ 優しい嘘だと知っていても 引き裂かれた心から 行かないで、声が聞こえる あなたはシャボン玉 漂うだけ風の向くまま あなたはシャボン玉 触れないように、壊れないように 薄れゆく背中を追いかけるだけ
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