現実

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『音華せんぱぁぁぁい。今すぐそこから離れてこっちに来てください!』 電話を切られておよそ5分彼は息を切らした様子で屋上に入ってきた。そして慌てて私に声をかけた。まぁ、最後に話くらい聞いてあげようと思い、私は屋上の角から彼のいる中央部に移動した。 『速かったね。さっきも行ったけど、今日か明日が私の命日になると思うの。君には第1発見者になってもらうよ。』 満面の笑みで私は彼にそう言うと彼は顔をしかめた。 『なんで、なんでなんですか。ダメですよ。』 はぁやっぱり君もそう言う。死にたいって思う人の気持ちも考えないで、辛い中でも生きなきゃダメって。誰だってそう言う。 『なぜ?私が天才ピアニストだから?私のピアノが世界を救うから?私にしか出来ないことのために、なぜ生きなきゃいけないの?もう世界のためにピアノを弾いて、世界のために生きるのは嫌なの。』 いつの間にか涙が出て止まらなくなっていた。
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