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ーーーーその後一次、二次と進んで紬出版から奇跡的に内定がもらえたのは、あの日彼の魔法の手によって緊張と不安が解かれたおかげなのか、はたまた"オレに礼がしたいんなら意地でも内定勝ち取って来い"という彼の言葉が負けず嫌いな私の心に火をつけたからなのか。
どちらにしても、あの時助けてくれた坂崎さんのおかげであることは間違いない。
とにもかくにも無事内定の出た私は、その夜約束通り貰った名刺のQRコードからネット予約しようとして驚いた。
だって、画面に現れた予約フォームは数ヶ月先までびっしりと埋まっていたから。
確かにあの規模のヘアサロンとなればスタッフの数もきっと2、3人だろうし、さらに人気のあるサロンだったとしたらこれが普通なのかもしれない。
だとしたら一体いつ予約を入れられるんだろう……。
そう思いながら、録画していたドラマを見終わった後は特に何を見るでもなくただただBGM代わりに流しっぱなしになっていたTV。
そこから流れて来たお馴染みのバイオリンの音楽で始まった"熱中大陸"。
"熱中大陸"とは、様々な分野で活躍する人たちを一人一人取り上げて密着取材し、紹介して行くドキュメンタリー番組だ。
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