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なんてくすくす笑う編集部スタッフの声に「お騒がせしましたー!」と頭を掻き掻き答えていると、藤川さんは私の背後に視線を向け一瞬目を細めた後、「おい、あっちで無駄話してる余裕あんなら、あとは佐野に任せてお前はこのままこっち手伝え」と言った。
「了解です!」
返事をしながら舞衣ちゃん1人で大丈夫だよね?とちらっと後ろを振り返れば、普段は柔和な顔をしているはずの坂崎さんの、なぜか鋭さを帯びた瞳とかち合った。でもかち合った瞬間彼はふっと困ったようにその目元を和らげる。
……どうしたんだろう?
気にはなりながらも私はそのまま藤川さんのサポートについた。
それからほどなくして恵麻ちゃんが現場入りし、まずはフィッティングが行われる。
次号の特集に沿って表紙用に厳選された数種類のコーディネートを実際に試着してもらい、どれで行くかを決めるのだ。
今回決まったのは大人っぽいレースとフリル使いの特徴的な白の映えブラウスとパキッとしたグリーンのタック入りカラーボトムのコーディネート。
そしてここからがいよいよ坂崎さんの出番だ。
2人がヘアメイクのためにスタジオから控室へと移動する。
……坂崎さんはあの魔法の手で、どんな風に恵麻ちゃんの魅力を引き出していくんだろう。坂崎さんの仕事している所、ちょっと覗いてみたいな……。
どうせヘアメイクが終わって撮影が始まるまでは私の手も空く。
そう思った私は居ても立っても居られず、
「恵麻ちゃんにケータリング届けて来まーす!」
と、ちゃっかり恵麻ちゃん分のケータリングを手にそう言い置いて、そそくさとスタジオをあとにしたのだった。
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