真夜中文芸部には闇がある

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「やめないわよ、現実逃避するほうが悪いわ。なに今の鳥肌必至な茶番。あと十一分五十八秒」 「やだやだ静かにしてえええ!!! ……っていうか何で山内さんここにいるのよ! 部誌の作品以外は仕事じゃないんでしょ!?」 「この間みたいに、執筆に専念したいから部屋に入るなって言われて入ったらゲームしてたってことがないようにね。はいあと十一分三十秒」  林さんはパソコンからはがれて椅子にへばりつく。 「あれは違うの! あの時も言い訳……じゃなくて説明したけど、ひと段落ついたから休憩しようかなって思って! っていうか何で山内さん人の部屋に入れるの!」 「マスターキー作ったからに決まってるでしょ。編集者山内に不可能はないわ」 「五重くらいにして厳重に鍵かけてあったのに……!」 「まあ鍵が通じなくてもドアをぶっ飛ばせばいい話よね」 「あ、確かに。そうだね、鉄製だから最悪小指でも吹っ飛ばせるのよね。……じゃなくて! あと十分!」  ちなみに補足説明すると、この二人は人間ではない。親は普通の人間のはずなのだが謎にこの二人は宇宙人である。 「ねえ、山内さん」 「どうしたの?」 「……実は私、あっちの世界から来たの。私を(いざな)う声がするのよ。もう帰らなくちゃ。さようなら……今まで黙っていて、ごめんなさい……」 「あ、そうだごめんなさい林さん」 「……え?」
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