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米を研ぐ
私は夫と子供が食べる米を毎日研いでは炊いている。
朝ごはん、お弁当、夕ごはん。
我が家に欠かせない米なのだ。
家事の間にお茶を入れてテレビをつける。
その画面に映し出される日本ではない国の戦争の惨事。
お茶を飲んで窓の外の空を見る。
澄んだ青は爽やかな気持ちにさえさせるのに。
この青空はあの灰色い空と繋がっていて、あの惨事が現在進行形で起きている。
何故この青い地球に住んでいる者同士で殺し合わなくてはいけないのか。
米粒みたいな私には分からない。
何をすればいいのかも分からない。
どうか早く終って欲しいと願うだけ。
そして米糠の粉の様な私の心は思うのだ。
自分達だけはこんな事になりたくないと。
米つぶみたいな私は今日も米を研ぐ。
白い研ぎ汁が透明になるまで米を研ぐ。
家族のご飯を作るのだ。
ご飯の炊ける匂いがする。
玄関のチャイムがなる度に
「おかえり」
と言ってドアを開ける。
それが私に出来る事。
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