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お届け物はお任せ下さい
近藤が友人と始めた何でも屋に届け物の依頼が入った。重要書類と商品を届けてほしいという簡単な内容だ。指定の黒い服に着替え、キャップはリュックに入れ、バイクで駅前に急ぐ。オフィスビルの前で灰色のスーツの女性から紙袋を受け取るとすぐに倉庫街へ急いだ。
指定の倉庫を探し出すとバイクを停めた。キャップを被ると恐る恐る倉庫のドアノブを回し、そろりと中に入る。
「ブツは持ってきたか」
低い声の男がグイと何かを背中に押し付け中へ入るのを促す。
「は、はい、ここに。あの届けるだけって」
「残念ね」
派手なブルーのワンピースを着た女が銃口を向けて歩いてくる。
「おい、面倒なことはご免だぞ」
男は軽い口調で言う。
「悪いけど、最初からこうするつもりだったのよ」
渇いた音と胸の衝撃で近藤は崩れ落ちた。
「はい、カット!」
「気絶しちゃったんじゃないの」
「おかげで良い画が撮れた」
了
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