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 さて、話には起承転結というものがあるから、私もこの話に落とし前をつけなければなるまい。  とにかく彼は虫の顔を見たのだ。  そのとき、今まで空虚で忌々しいだけだった虫の表情に変化が現れた。  怒りの表情が表れたのである。  彼は度肝を抜かれた。細身の虫から、殺気すら感じていた。彼は逃げるべきだと思った。しかし、南無三、足は一歩も動かなかった。  そうしている間にも、どんどん虫からの殺気は増すばかりである。彼は慌てた。どうすれば助かる? 何をすれば助かる?  彼が途方に暮れているときだった。  彼と虫の目が合ったのである。  彼は、虫からこう言われた……ような気がした。 〈お前だけが世界を楽しもうだなんて、そんなのは間違っている〉と……
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