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おじいさんネズミは言いました。
「ワシがいなくなっても、きっと、皆さんが、あなたたちを守ってくれます。いじめをなくすること、泣いている人を励ますこと、それは、その気になれば誰にでもできることです。ネズミ同志やさしさを持ち寄って幸せに暮らして下さい。トラの首に鈴をつける仕事、それはワシにしかできない仕事です。王様。どうかワシに、この仕事をお任せください。金の鈴をこの老いぼれに預けて下さい。」
ネズミの王様は、他に、どんな良い方法も思いつかなかったので、おじいさんネズミに金の鈴を手渡しました。
金の鈴はネズミの国で一番大切な宝物だったので、トラに追われて逃げる時にも持って逃げてきたのです。
王様の手から、おじいさんネズミの手に渡った金の鈴はキラキラと輝きながら
♫チリリン キラリン チリリリ~ン
美しい音色を響かせました。
この鈴をトラの首につけられるように、王様は、羽織っていた丈夫なマントを引き裂いて、大そう立派な長い紐を作りました。
おじいさんネズミは、長い紐にしっかりとくくりつけられた金の鈴を持ち、仲間たちの熱い期待を背負い、恐ろしいトラの唸り声がする方へ、勇敢に向かって行きました。
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