虎に鈴

5/11
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
おじいさんネズミは言いました。 「ワシがいなくなっても、きっと、皆さんが、あなたたちを守ってくれます。いじめをなくすること、泣いている人を励ますこと、それは、その気になれば誰にでもできることです。ネズミ同志やさしさを持ち寄って幸せに暮らして下さい。トラの首に鈴をつける仕事、それはワシにしかできない仕事です。王様。どうかワシに、この仕事をお任せください。金の鈴をこの老いぼれに預けて下さい。」 ネズミの王様は、他に、どんな良い方法も思いつかなかったので、おじいさんネズミに金の鈴を手渡しました。 金の鈴はネズミの国で一番大切な宝物だったので、トラに追われて逃げる時にも持って逃げてきたのです。 王様の手から、おじいさんネズミの手に渡った金の鈴はキラキラと輝きながら ♫チリリン キラリン チリリリ~ン 美しい音色を響かせました。 この鈴をトラの首につけられるように、王様は、羽織っていた丈夫なマントを引き裂いて、大そう立派な長い紐を作りました。 おじいさんネズミは、長い紐にしっかりとくくりつけられた金の鈴を持ち、仲間たちの熱い期待を背負い、恐ろしいトラの唸り声がする方へ、勇敢に向かって行きました。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!