3人が本棚に入れています
本棚に追加
「好きな人ができたんだ。」
君に打ち明けられた時、僕は少し考えてから
よかったじゃん どんな人? って 聞いた気がする。
それから君は、『好きな人』を褒めちぎっていた。優しくて、一緒にいて楽しい人。テンプレートな感想ではあったが、そう話す君の目は初めて会った時と同じくらいに輝いていた。
「一緒にいたら、やきもち焼かれちゃうんじゃない?」
冗談半分に聞いた僕に、君は笑う。
「そんなわけないよ。ただの友達だって相手にも言ってるし。」
あぁ 君は本当に好きな人を見つけたんだ
そう思った。
分かっていた。
ドキドキとした鼓動の正体も。僕が君にどんな感情を抱いていたのかも。
この感情が永遠に君に届くことはないことも。
君との関係は心地の良いものだったし、何より僕に、友達以上でも以下でもない関係を変化させる勇気はなかった。
潔く諦めたはずの鼓動は、鳴り続けている。
『上手くいきませんように』
悪魔のような感情を押し殺しているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!