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ゴールデンレコード
カイに手首を掴まれたまま、瀬王海斗くんのことを思い出していた。
ロケット花火を作ってくれたガリ勉くん。
瀬王くん、あのCDちゃんと宇宙に届いた?
ロケット飛ばすのって、大人の頭のいい人達が集まって何億円も使っても失敗することがあるんだって。
小6のあなたにそれができたの?
ロケット花火に括りつけただけだったけど、磁気データ壊れない?地球出る前に燃えない?
ねえ、今ここにあるのは何?
「中身、聞こう」
「えプレイヤーないし」
「スマホに入ってる」
やはりな!
佳奈とマコトくんの計いで私達は隅っこに移動していた。
小上がり座敷の端っこに体育座りになって、カイのスマホで片耳ずつ聴く。
自分の声を聞くのって不思議な感じだけど、あの時録音したのと同じ内容が流れてくる。
『こんにちは、お元気ですか。
私は宇宙人のお嫁さんになりたいです。だから迎えに来てください。』
聞きながら、ずっと思ってたことをカイにぶつけてみた。
「あんた本当は宇宙人じゃないでしょ」
私は宇宙人に迎えにきてくださいって言ったのに。
なんであんたが来たの?
「ユーリが俺のこと好きだから」
だから言ってないし。
そう返そうとしたその時『好きな人は瀬王海斗くんです』と流れてきた。私の声で。
きゅっ、とカイが私の手を握った。
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