宇宙人だって必死なんだよ

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 打ち上げる前日、あいつがどんなことを吹き込んだのか知りたくて、聞いちゃったんだ。 『私は宇宙人のお嫁さんになりたいです。だから迎えに来てください。』  イヤホンで聞く優莉の声はくすぐったかった。    だけどなんで宇宙人?  俺じゃダメ?  それから自己紹介がつらつら流れて、最後に『好きな人は瀬王海斗くんです』って。  俺じゃん。  やっぱ好きなんじゃん。  CD抱きしめて寝たよね。  でも当時小6の(ガキ)にさ、それ以上何ができんの。    翌日、(からっぽ)のCDを一緒に打ち上げて、俺はホンモノの方をこっそり宝物にすることにした。  東京に引っ越すことが決まってたし、そうするしかなかった。  だからさ、あの日優莉を見たときマジかって思った。    今度こそどうにかしようと思った。  CD返して、気持ち伝えようって。  それにはまずは優莉を見つけないと始まらない。リョウより先に。  でも俺方向音痴じゃん!  一日中キャンパスの中を彷徨って、もう帰り道も分からなくてすげぇ腹減って。  遭難したんだよ。東京のど真ん中で。  でも優莉が俺を見つけてくれた。 『もしかしてあなた宇宙人ですか?』  ウケる。まだ言ってる。  でもなんか真面目な顔してるし、CDのことももしかしたら怒られるんじゃないかって今更不安になってきて、言い出せなくて。  それで俺は宇宙人になることにした。  満月の夜に教えてくれた好みのタイプ、俺でしょ? 勘違い?  その矢先にばーちゃんが危篤だから北海道行けって連絡がきて。  戻ってくるから待っててって約束したのに。  なんでお前ココにいんだよーっ!
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