15人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだ。ゲームをするなら座ってくれ。ディーラー! 再開しよう」
サワサキの言葉でゲームが再開され、数人がテーブルについた。
ラハイアはディーラーに封を切っていないカードの束を手渡す。
「いつものだ。今日は大勝負になる、新しいカードではじめよう」
ディーラーはうやうやしく受け取り、封を切ってシャッフルを始めた。
リーン王国製のトランプは最高品質とされており、すべて王室直下の印刷所で作られている。それは、他国には決して真似の出来ない製紙・印刷技術の結晶と言えた。
シャッフルが終わり、ディーラーはイカサマ防止のため参加者にカットをさせたあと、2枚ずつ手札を配り始めた。
「われわれの知っているポーカーとは違うようだな」
ラハイアは静かにそう呟く。
「テキサス・ホールデム、わたしの国ではそう呼ばれていた」
サワサキが答える。
このルールは彼がこの酒場に持ち込んだもので、ドローポーカーしか知らなかったリーン人の間で、ちょっとしたブームとなっていた。
ゲームが始まる。ラハイアはビッグブラインドと呼ばれるポジションで、必ず20スタークを場に出さなくてはならない。
ブラインドベットにはスモールとビッグがあり、順番に回っていく。
つまり、まったく賭けずにやり過ごすことはできないルールだ。
コールする者、フォールドする者が続き、サワサキはコールした。
全員のベットが終わり、場にフロップが配られる。
♥のK,♦のJ、♦の8。
チェックが続き、サワサキが40スタークをベット。ラハイアはフォールドし、一人がコールした。
「なるほど、我々のポーカーとは違って相手の手が読みやすいが、肝心なところはわからない、よく出来ているな」
ラハイアは感心したように呟いた。
ほとんどのカードが共通なので、ベットしてきた時はある程度相手の強さが予測できる。
たとえばKのペアならすでにスリーカードだし、AとKなどがあればあと1枚でストレートだ。あるいは♦が2枚でフラッシュを狙えるのかもしれない。いずれにせよ、ベットやコールをするのであれば、それなりの手が入っているはずだ。
ディーラーがターンを配った。
♠の7。
場はK、J、8、7となる。
サワサキがさらに40スタークをベットし、一人残っていた男もここでフォールド。
全員が降りたので、サワサキがポットを手に入れた。
サワサキはカードを放った。Kのペアでスリーカード、さらにフォーカードまで狙える手。
ラハイアも同じようにカードを見せた。AとJ、現時点ではJのワンペア。
それなりに強い手だが、フォールドを選択したのは結果的に正解だったと言える。K3枚には敵わない。
サワサキはラハイアの手を一瞥し、表情を伺った。
最初のコメントを投稿しよう!