#4 試金石

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「ルールは我々のポーカーでよいのだな?」  ディーラー役のラハイアが確認し、サワサキが頷く。  執務室へと向かう間、女王が選手となっている理由を聞いたばかりだ。 相手の表情や仕草を読むことに長けていて、ポーカーでは誰も敵わないのだという。  そのため、大会に自ら出場すると言い張る女王を誰も止めることが出来なかった。ラハイアはそんな状況を案じ、パートナーを捜していたという訳だった。  スターティングハンド(最初の5枚)が配られる。  模擬戦のため、互いに200スタークだけを持ち、無くなった方が負けというルールとなった。  ヘッズアップ(2人の勝負)のため、スモールブラインド(SB)ビッグブラインド(BB)ビッグブラインド(BB)が交互に回る。SBのジュディスが10、BBのサワサキが強制的に20スタークをベット。ブラインドベットがあるため、常に降りたとしても少しずつチップが削られていく。 女王ジュディスはコール、サワサキはチェック(賭けずに様子見)した。    ドローポーカーは、一度だけ手札を交換することができる。  交換は何枚してもかまわない。  ジュディスは2枚、サワサキは1枚をそれぞれ交換した。    サワサキが20スタークをベット。  ジュディスはサワサキの目を見ながら、質問した。 「ストレートを狙ったけど引けなかった、でしょう?」  サワサキはまったく表情を変えない。が、ジュディスは何かを掴んだかのように20スタークをベット。  サワサキはしばらく考え、やがてフォールドした。  ジュディスの言うとおりストレート崩れ。とても勝負はできない。  結果、サワサキは40スタークを失い、ジュディスがリード。   「表情は変えずとも、纏う空気は変化する。わたしはそれを感じることができる」  サワサキはジュディスの青い目を正面から見つめた。  確かに表情だけでなく、しぐさ、動き、目線、くせ、あらゆるものが情報となりうる。だが読み合いの経験なら負けてはいない。  
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