眠り

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~橘彩乃~ 目が覚めた。しかし、ここは地獄。そして私は悪魔だ。 地獄にはいつも人殺しが送られてくる。それを痛めつけるのが私達悪魔の仕事だ。 でも他の悪魔と違って私は元々人間だった… ~橘彩乃(過去)~ 目覚ましの音がうるさく鳴り響いていた。 私眠い目を擦りながら目覚まし時計を止めた。 「彩乃~。ご飯よ~」 お母さんの声がする。 制服に着換えて階段を降りていく。 「お母さん、おはよ~」 欠伸をしながら一階に降りると、テレビがついていてコマーシャルが流れていた。 「お母さん、この女優さん、最近凄く有名になったね」 「そうね。前までは脇役とかが多かったけど、最近は主役になることも多いわね。前から凄い演技力だったから、お母さんずっと応援してたわ」 「私もこの女優さんいいと思う」 「そうでしょ?さ、朝ごはん食べましょ」 お母さんと二人で食卓を囲む。お母さんは料理が得意だ。こんな短時間で、こんなに美味しいご飯を作れるんだから、かなりの腕前だと思う。それだけでなく、私を女手一つで育ててくれたお母さんには、いくら感謝をしてもしたりない。 ご飯を食べ終わり、準備をして家を出る。 「いってくるね」 「いってらっしゃい」 私はそのまま学校に向かった。しかし、学校は退屈で苦手だ。先生が長々話をするだけの授業、特にすることのない休み時間。学校にいると時間を長く感じた。 学校に着き自分の席に座っていたが、学校はやはり退屈だった。 少し座ったままでいると、私を呼ぶ声が聞こえた。 「おはよー。あっやの」 「夏希おはよう!」 その声の主は横川夏希だった。私の唯一の友達だ。 「今日消しゴム忘れちゃってさぁ。貸してくんない?」 夏希はちょくちょく消しゴムを忘れるので、私は予備の消しゴムを常備している。 「はいこれ」 「ごめんねー」 一時間目の授業のチャイムが鳴った。 「おっと時間だ!彩乃、また後でね」 「うん、後でね、夏希」 一時間目は数学だ。クラス担任であり、数学の教科担任でもある三野先生が教室に入ってきた。
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