7個差のタルト・タタン （緒方さん家のおいしいごはん 番外編）

7個差のタルト・タタン[前編]

　脱いだ服を洗濯機に入れてもらってひとまずは私の服を貸すことにします。

　一緒にお風呂に入った直ちゃんはそれはそれは楽しそうでした。

「な、なんですかこの良い香りのするシャンプー。あなたはもしかしてどこかのお姫さまですか？　きゃっ、冴島 里依が洗ってくれるんですか！？」

「えっ、シャンプーの後にまだ何かすることが？　リンス？　トリートメント？　聞いたことありますけどそれお金持ちのするやつですよね」

「湯船にこんなにお水を入れていいんですか！？　そんな......これがテレビで見た温泉。えっ、泡風呂になる入浴剤ってなんですか！」

　私には妹は居ないのですが、もしかして歳の離れた妹が居たらこのような感じなのかもしれません。

「ふ、不覚です！　恋仇がお金持ちだなんて！」

（多分平均以下だとは思います）

　いただきものの後入れバブルバスセットに胸を弾ませた直ちゃんは少しだけ口が軽くなったようです。と言っても、聞き出した家庭事情はお世辞にも良いとはいえません。