プロローグ

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 長いストレートの髪をミドルツインテールにしている小さな彼女は、305号室に出入りする私の存在そのものに腹を立てているようでした。  黙っていれば彼女はとてもキュートな、いえ、キュートというよりは清楚と言った方が的確に表現しているように思います。とにかく可愛らしい女の子なのです。しかし、この奇妙な状況に耐えきれずに私は彼女に質問することにしました。 「あの、良かったらあなたのお名前と緒方さんとのご関係を聞いても良いですか?」 「わたしは木瀬川(きせがわ) (なお)。緒方さんの”恋人”です」  そうです。緒方さんは健全な大学生なので、恋人の1人や2人、私達に内緒でコッソリつくっていてもおかしくはありません。何もおかしくはありませんとも。  ただし、その”自称恋人”さんが身長140cm台の女子中学生だったというだけで。
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