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ーーここまでの経緯は数日前に遡る。
「里依さんに怒られた?」
バイトから帰ってきた当日、305号室に帰ると、真が絵を描いていた。真とナオは顔を合わせていたらしく、ナオに関しては特にリアクションはなかった。
「わたしはただ冴島 里依のカップ数がーー」
「ナオ。言わない」
「むぐ。ふむむむふむむむむ」
僕はこれまでの出来事をかいつまんで真に説明した。真は手を止めて僕の話を聞き入る。
「はー、そういうこと。確かにそれは里依さんのデリケートな部分かもね。ーーそこの小動物は恩を仇で返すって言葉知ってる?」
「むむむむまふ」
僕の腕で口を塞いでいたナオが何かを言いたそうに身体をよじる。
「ナオ、どうしたの?」
「ぷは。あの、緒方さん。冴島 里依のブラジャー持ってきてますよ」
「............!?」
荷物に混ざって手元には白いレースが沢山あしらわれている布が残っていた。所々紐の部分なんかもあるが、あまり詳細は考えたくはない。
「それは、だいぶ、攻めたデザインしてるやつ」
「返してくる......」
しかし、304号室のチャイムを鳴らしても里依さんが出てきてくれることはなく、僕は305号室にそのまま帰ることになった。
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