7個差のタルト・タタン[後編]

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 スマホから最近登録した木瀬川家の電話番号を探す。といっても、かろうじて繋がっているという木瀬川家の電話だ。固定回線は行方不明の親のクレジットカードから落ちているらしく残高があるうちはまだ繋がるのだという。僕が通話を試みていると真とナオがじゃれあっている。 「流石の光高でも嫌われたかなー」 「冴島 里依に嫌われても、他の誰かに嫌われても、緒方さんには私がいます!」 「それってチビ助は疫病神かなんかなの?」 「むきーーー!!!」 (こんなに打ち解けられるんだったら、早く連れてくればよかった)  俺の7年前ってこんなに馬鹿だったかなーーなどと真が言うのを横で聴きながら、僕は留守電にメッセージを残した。僕たちとナオは小学生が入学して卒業するよりも年が離れているのだからわからないことが多いのは当然だ。  ただ、わからないことが多いからといって、常識や人との関わり方を教えないのはおそらく違う。 「ナオ、前も言ったけど、僕たちみたいなのは人との関わり方を学んでおいた方がいい」 「私、緒方さんとだけお話しできたら大丈夫です!」 「里依さん、ナオに良くしてくれたのに怒らせたままでいいの?」 「そ、それは......」
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