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「何この格好」
「そのままだったらバレるでしょ。グラサンと帽子貸してあげるから行くわよ」
ナオから聞き出した情報によると、よくショッピングモールに兄妹で行っていたということで、今日もおそらくここに居るのではないかということだった。僕と神倉はなるべく目立たない黒い格好にサングラス、メガネにマスクという怪しさ全開の格好で里依さんを探している。ショッピングモール4Fで、仲の良さそうな2人組の顔を見ていく。神倉はずんずんと進んで行くが、僕はそこまで乗り気ではない。
「ねぇ、神倉。見つからないって」
「何よ、あんたいつもは過保護なくせに里依のこと心配じゃないわけ?」
「でも、避けられてるかもしれないし」
正直、里依さんのことは心配だが、今回は嫌われたのではないかという思いの方が強い。いつもは平日でも何度かは顔を合わせてくれるのだが、今週は1度も合わなかった。メッセージにも返信がない。
(やっぱり......あれが......)
僕はほぼ唯一の女友達である神倉に聞いてみることにする。
「神倉、好きでもない男に下着触られたらどう思う?」
「殺す」
「......そっか。ありがと」
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