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神倉は過激派だ。だが、嫌悪感という面では他の人でも変わらないかもしれない。神倉は聞きづらそうに僕の耳元で聞いてきた。
「えっ、触ったの? しかも里依の?」
「……なんならまだ家に置いてある」
「それは流石に引く。きちんと返してきなさい」
だから会ってくれないのだという話をするが、神倉は聞いてくれない。
「ってか、なんでそんなことになってんのよ。あんた里依のこと好きなのに、なんでそうややこしいことになる前にズバッと付き合えないわけ?」
「? 恋愛感情はないけど」
神倉は勘違いしている。里依さんが好きなのは真だし、そんな里依さんに対して僕は恋愛感情を抱かない方が良い。少し事故のようなこともあったが、断じてこれは恋ではないのだ。
ただ、見た目と性格が好みで、異性として少しだけ気になっているだけーー
だが、真が神倉を好きな以上、僕がこれらの事実を神倉に伝える気はない。神倉はため息を一つついて、それから僕の腕を弱く殴った。
「ばーーーか」
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