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緒方さんに女のきょうだいがいることは聞いていない私は、一瞬部屋を間違えたかと焦ります。しかし、部屋番号を何度見ても305号室なのです。彼女は私から急いで離れると、青ざめた顔になるばかり。そうかと思えばいきなり部屋の中に連れ込まれて、早速ではありますが冒頭に戻ります。
「とにかく”彼女”の私が居るので部外者の方はお帰りください」
「えっ。あの。私緒方さんに呼ばれて来てて」
直ちゃんは連れ込んだ割に私を追い出したくて仕方がないようです。あたふたとしているとリビングに聞き慣れた声がします。
「へー、緒方ってロリコンだったんだ」
いつものように真さんはチャイムも鳴らさずに平気で上がり込んで来ます。鍵を持っているというのはなんと恐ろしいことでしょう。
「真さん! 今日だけは良いタイミングです!」
「ひゃ、こ、今度は誰ですかあなた!」
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