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佐藤 真は相変わらず絵を描きながらわたしを見ています。この人間はわたしの姿形に今用事があって、わたしの中身なんかに興味なんかないのです。だから多少キツい言葉を吐いてしまっても、大丈夫なのです。
「……。クラスの人たちの大半は、恵まれているって思います。親が居て、帰れる場所があって。そんな贅沢な人たちの些細な悩みや日常なんかわたし、わかりたくないです。それは彼女たちは甘ったれていると思うからです」
「じゃあ、余りの人たちはどうなの?」
「惨めです。木瀬川家と同じように貧かったり、不幸だったりして。話は確かに合うかもしれません。不幸の自慢話であれば木瀬川家にも腐るほどあります。でも、わたしは傷の舐め合いがしたくて学校に行っているわけではないし、そんなことはしたくないんです」
それはあの灰色の教室の片隅でいつも考えていることでした。なんにも生産的なことをしていない”わたしよりも頑張っていない”人たち。その集まりがなんだか楽をしているように見えて、気持ち悪い。だから同世代とは考え方が合わないのです。
「なるほどね。俺はどっちともつるまないよ。なぜなら、俺はそういう風に周りを見てないから。ーーおチビはいつもそうなんだろうね」
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