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「いつもって、なんです?」
「行動も思考も上から目線なんだよ。自分が偉いとでも思ってるの?」
そんなことを言わないで欲しいです。だって、わたしは、本当は。
「……自分だけは自分が偉いと思っていないと壊れちゃいそうなんです」
誰も大切にしてくれないから、わたしだけはわたしを大切にしないと。虚勢でつくったガラスの城は簡単に壊れてしまう。わたしは優秀で、やればできる子。そう思い込んでいないと自分を保てない。
(といっても、成績も運動も友人関係も、何もかもが誇れなくなってしまったのです)
自慢だった成績は気が付けば周りにどんどんと追い抜かされました。わからないところを聞く友達も居ませんでした。先生に聞くのもなんだか恥ずかしくて、気が付けば落ちこぼれになっていました。どうしようもないわたしが河原で勉強していたのに話しかけてくれたのが緒方さんです。
「わたしには緒方さんだけなんです。あなた達は他にお友達がつくれるじゃないですか。わたしの緒方さんを取らないでくださいよ……」
「譲らないよ」
佐藤 真は即答でした。
「だってアイツは俺の唯一無二の親友なんだ。譲れるわけがない。俺にはアイツが必要だし、アイツもきっと俺のことを必要としてくれるから」
わたしの好きな人に存在する”わたし以外の大切な人”、そんな人のことなんか考えたくはないのです。消えてもらいたい。でも、同時に反対のことも思ってしまう私がいるのです。
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