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「直、好きな男の休日の知られざる面を見て、本当はどう思ったのさ?」
「わたし以外の友達がいて、眩しいと、思いました」
わたしもお友達が欲しいんです。ちゃんと自分の言葉で話して、受け入れてくれるお友達が。
「里依さんとか、栞菜とか、俺とかって惨めだったり甘ったれてるって思った?」
「思ってないです……。本当はちゃんと敬わなきゃとか、酷いこと言わないようにって……思ってるのに。緒方さんにも迷惑かけたくないのに。でも、わたしはやってはいけないことが正直わからないのです。兄にも、本当は感謝しているけど、でも……兄はわたしの意見なんて尊重してくれません」
だからひねくれた言葉しか言えない。
「面白いと思ってやったことが、周りの人には面白くなかったり、タブーだったり。全然、空気が、読めなくて。でも、本当は……」
「直はさ、里依さんとお兄さんの2人と仲直りするところから始めたら良いんじゃない?」
佐藤 真はわたしを描いたのだという絵を見せてくれました。小さくて、何者でもないわたし。でも、しっかりと前をむいています。
「直は里依さんの代わりにはなれないよ。なる必要もない。だけど、一つだけ言うなら、直が一生懸命等身大の自分と向き合えたら、きっと里依さんと同じくらい素敵な女性になれる」
「……佐藤 真はやはり冴島 里依のことが好きなのではないですか?」
「人間として大好きだよ。信頼してるんだ」
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