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ーーSide 冴島 里依
『翠さん、本当にこれやるんですか』
私、冴島 里依は今、ゲームセンターの照明に囲まれてある筐体の前に立っています。
「何のためにここに来たんだよ。里依”たん”」
『誰が里依たんですか』
機械音声が開始の合図を告げます。
(このカードの効果を使って、敵を倒すらしいのですが、このカードの能力なんてそもそも覚えられなーー)
「♪ドキドキ ハッピーまりたん☆のバトルスタートぉ!」
ーー
「はーー、マジ無理。なんでこの年で日アサの女児向けアーケードゲームやらないといけないんだよ」
『さんざん文句言いながらもめちゃくちゃ強かったじゃないですか』
翠さんは面白くない、つまらないと言いながらも、順調にプレイを続けていくのです。通いなれたらしく会員カードで支払いを済ませた翠さんは、先ほどのプレイでゲットしたらしいカードを私に掲げます。
「まぁ、これで殆どカード揃ったから。これで間に合いそうだぜ」
どうやら直ちゃんの誕生日プレゼントを確保する争いに私は巻き込まれているようでした。しかし、私は先ほどから抱いていたある感想を述べることにしました。
『翠さん、あの。直ちゃんがして欲しいのは、プレゼントにこのカードを取ってくることじゃないと思いますよ』
「は?」
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