7個差のタルト・タタン[後編]

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 翠さんは何を言っているのかわからないという顔をしています。しかし、その顔をしたいのは本当は私の方です。 『翠さんと一緒にこのハピ☆まりをプレイしたいんだと思います。でも、翠さんが面白くないって言ったから、直ちゃんはそう言えなかったんじゃないですか』 「……!?!? だったら俺はなんのために……!?!?」  翠さんは肩を落としますが、おそらく。私の推理が正しければ、この兄妹は。 『翠さん、実はこういうこと、結構あるんじゃないですか?』 「ある!!」 『自信満々に言わないでくださいよ。情けないです』 「何が情けないんだよ!」 『翠さん、実は人の話が聞けないでしょう』  翠さんは完全に不貞腐れています。そう言えばこの筐体を1人でプレイするためにこの人はバイトを増やしたと言っていたのでした。 (不器用すぎますね) 「わりーかよ。俺が口が悪くて、すぐに思ったことを口にしてしまうせいでナオが思ったこと言えないっていうのはわかってんだよ」 『でも、どうしていいかわからないから、わかる部分でナオちゃんのためといって空回りする、と』
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