7個差のタルト・タタン[後編]

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ーSide 緒方 光高 「あの、緒方さん、怖いです」 「何が?」  305号室に戻ってきた僕がタルトを作る準備をしていると、ナオに袖を引っ張られた。 「リンゴ剥けてないですし、ほとんど身がないですよ!?」 「いつも通りだけど」 「い、いつも通りじゃないです! ほら、皮が散乱してますし!」  ナオが僕の剥いたらしいリンゴの皮を指差すが、どれも皮の周りにまだ食べられる部分が付いている。皮もいつも綺麗に処理しているのに。 「あ......れ......?」 「あれ、じゃないです。あの、いつものカッコいい緒方さんに戻ってください」  いつもの自分、いつもはどうしていただろうか。僕が自問自答していると、真がアトリエスペースからナオを連れ戻しにきた。 「こら、ちっちゃいの。光高の邪魔しないの」
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