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ーSide 緒方 光高
「あの、緒方さん、怖いです」
「何が?」
305号室に戻ってきた僕がタルトを作る準備をしていると、ナオに袖を引っ張られた。
「リンゴ剥けてないですし、ほとんど身がないですよ!?」
「いつも通りだけど」
「い、いつも通りじゃないです! ほら、皮が散乱してますし!」
ナオが僕の剥いたらしいリンゴの皮を指差すが、どれも皮の周りにまだ食べられる部分が付いている。皮もいつも綺麗に処理しているのに。
「あ......れ......?」
「あれ、じゃないです。あの、いつものカッコいい緒方さんに戻ってください」
いつもの自分、いつもはどうしていただろうか。僕が自問自答していると、真がアトリエスペースからナオを連れ戻しにきた。
「こら、ちっちゃいの。光高の邪魔しないの」
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